北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「で、しゃべれるの、しゃべれんの?」
 累はまっすぐそれを見返す。
「日常会話程度なら」
「ほら。いいやんな。ちょうどいいわ、綾乃、車で先行って。オカンも天ぷら後始末したら行くから」
「はーい」
「通訳料払ってよ」
 いきり立つ凛乃をなだめて累が後部座席に乗りこむと、軽自動車はすぐに出発した。
 そこまで車で5分とかからない。
 自分の車で追いかけてきた母親が小さな民宿旅館の門前に到着するころには、ことはあらかた収束していた。
「どうなったんよ」
 母親が凛乃と姉のあいだに首を突っ込んでくる。
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