北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「無理強いとか、騙されてるとかじゃないよ? 向こうの家族に紹介されてるし、お正月にはうちの親にも挨拶してくれた。あ、それにね、家をリフォームするよ」
「それ関係ある?」
「わたしが住みやすいようにしてくれるってことだよ。こないだね、お風呂場が古くて寒いから、まるごとリフォームしようってことになったの。わたしいま工務店で働いてて、ちょっとツテもあるからさ」
「ふぅん」
 深く刻まれていた加乃子の眉間のしわが、少し和らぐ。
「家をいじるって、まぁ生半可じゃないね」
「もともと、物置の壁抜いてベッドルームにしようかとは言ってたんだよね。そこから、猫が畳をバリバリやるから和室をなくしてリビングとくっつけて大きなLDKにしようとか、どんどんアイデア湧いてきて」
「いっしょに生活していく気はあるってことか」
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