北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「昨日はまた、思い切って玄関ドアの位置を変えて、廊下と玄関ホールを仕切りたいとか、話したよ」
「大がかりだなあ。相当お金かかるよ? 口先だけかも」
「わたしももちろん出すし、累さんはお風呂場リフォームの見積もりにOK済み。もう動き始める」
加乃子が黙った。それは拒絶じゃなく、凛乃が言いつのったことを咀嚼する時間のように見えた。
「なんだか、凛ちゃんに居ついてもらうのに必死、って感じだね。最初から凛ちゃんをオとすつもりで雇ったんじゃないの?」
「言いかたはアレだけど」
そんな野心を感じさせない累の顔を想い浮かべて、凛乃は目だけで微笑む。「結果として事実だな」
「ほらぁ」
「でもわたしが先に家を気に入ったんだよ。家政婦でいたあいだは、累さんは手を出すどころかほとんど顔も合わせないで、存在を消そうとしていたきらいすらあるし」
「どうして? 好きで呼び込んだくせに」
「大がかりだなあ。相当お金かかるよ? 口先だけかも」
「わたしももちろん出すし、累さんはお風呂場リフォームの見積もりにOK済み。もう動き始める」
加乃子が黙った。それは拒絶じゃなく、凛乃が言いつのったことを咀嚼する時間のように見えた。
「なんだか、凛ちゃんに居ついてもらうのに必死、って感じだね。最初から凛ちゃんをオとすつもりで雇ったんじゃないの?」
「言いかたはアレだけど」
そんな野心を感じさせない累の顔を想い浮かべて、凛乃は目だけで微笑む。「結果として事実だな」
「ほらぁ」
「でもわたしが先に家を気に入ったんだよ。家政婦でいたあいだは、累さんは手を出すどころかほとんど顔も合わせないで、存在を消そうとしていたきらいすらあるし」
「どうして? 好きで呼び込んだくせに」