北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「友達の結婚式に行ったときに、たまたま撮ってもらったの。累さんは仕事のついでに式場まで送ってくれただけで」
「なぁんだ、振袖とスーツでも白黒だとそれっぽく見えるもんだね。いい雰囲気だってのもあるけど」
「撮ってくれた子が写真教室通ってて、そこで褒められたらしいよ。よそのコンペだかにも出すって」
「写真もいいけど、ふたりの空気感もだよ。しっくりきてる」
「そっかぁ」
 照れてくねくねする凛乃に、加乃子がスマートフォンを返す。
「で、どんなプロポーズだった? いっしょに住んでると、どういうふうに言うの?」
「いやーそれは、まだの、ような、うん」
「なんだそれ。結婚するんじゃないの?」
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