北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 返事をしてからはこのうえなくうれしそうに、凛乃は手を握り返してきた。
 ほっとして累はさっそく、手近なショーケースを覗き込んだ。
 ピアスが並んでいる。となりはネックレス、向かいはまたピアスだ。
 リングは、ときょろきょろしていると、こちらを見上げる凛乃と目が合った。
「探してるものがあるの?」
「ん……指輪」
 いまさらサプライズもなにもない。素直に白状すると、手を引かれた。
「あっちを見てみたい」
 控えめに指差されたほうには、“ブライダルフェア”のポスターが貼ってあった。このあたりにあるジュエリーとは別扱いらしい。
 凛乃にこくりとうなずいて見せて、すたすたとコーナーに近づく。もうここまで来たら、苦手だなんだと言ってられない。
 販売員がすぐに気づいて、華やかな笑みをふたりに向けた。
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