北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「いらっしゃいませ」
 勧められた回転イスにふたりが座るか座らないかのうちに、問われる。
「エンゲージとマリッジ、どちらをお探しですか?」
 累はすっと息を吸って、
「両方を」
「あ」
「え?」
 明らかに賛同じゃない声を漏らした凛乃と、顔を見合わせた。
「ちがった?」
「ううううん、ぜんぜん」
 凛乃はぶんぶんと首を振る。
「でも」
 返事に納得できずに粘ると、凛乃はおずおずと話し出した。
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