北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「いやいや、靴までは予算外です。アクセは余裕ができたらの話で、服さえあればなんとかなります」
「プレゼントするから、だいじょうぶ」
「そんな」
 あわてて発言を拭き消すように両手を振ると、累は左斜め上を見ながら言った。
「これは、解約祝い? だから」
 服に興味なんかないくせにやたら質問攻めにされたのは、そのつもりだったかららしい。
 ついほころんでしまう頬を引き締めて、凛乃は累の腕に手を置いた。
「ありがとうございます。お気持ちだけいただきますね。どうしてもこれじゃなきゃってアイテムがひとつでも見つかれば買いですけど、まだぴんと来てないんです」
 その意志が覆せないとみるや、累は妥協した。
「本気で欲しいものがあったら、言って」
「そのときは、おねだりします」
「ん」
 累にも笑みが戻る。
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