北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「なんで?」
「もうこれで最後だと思ったら、なんか」
言造はあぐらをかいたまま、器用に方向転換してこちらを向いた。
「開けても開けなくても、もう白百合からの手紙は来ない。でも開ければさ、何度も読める」
「そうだけど」
「累」
真面目な呼びかけに、思わず言造の顔を見る。
「白百合が意識なくす前の日にさ、おまえにはありがとうって言って、おれにはごめんねって言ったの、覚えてる?」
小さくうなずく。なにを言い出すのかと、警戒感がにじむ。
「あれ、なんかずっと引っかかってて。いや、白百合はおまえにもごめんねって思ってただろうし、おれにもありがとうって思ってたのはわかる。でもさ、なんていうか、謝らせちゃったなって」
「もうこれで最後だと思ったら、なんか」
言造はあぐらをかいたまま、器用に方向転換してこちらを向いた。
「開けても開けなくても、もう白百合からの手紙は来ない。でも開ければさ、何度も読める」
「そうだけど」
「累」
真面目な呼びかけに、思わず言造の顔を見る。
「白百合が意識なくす前の日にさ、おまえにはありがとうって言って、おれにはごめんねって言ったの、覚えてる?」
小さくうなずく。なにを言い出すのかと、警戒感がにじむ。
「あれ、なんかずっと引っかかってて。いや、白百合はおまえにもごめんねって思ってただろうし、おれにもありがとうって思ってたのはわかる。でもさ、なんていうか、謝らせちゃったなって」