北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「それでいけるか、確認してみますね」
 式場スタッフがインカムに話しかけながら控室を出て行った。
「リンリン怒るかな」
 言造がちょっと弱気になった。けれどいまはもう、累のほうが決行を疑っていない。
「怒られたらおれが謝る」
 凛乃は許してくれる気がした。そう願っている自分もいる。
「一生に一度だから」
 言造にとっても。
 累は急かすような気持ちで、控室のドアを見つめた。
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