北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
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 式場の真っ白なドアが開花するように開き、凛乃と父親が姿を現す。
 歓声を浴びて、凛乃がはちきれんばかりの笑みを見せた。
 色打掛に仕立て直した母の着物、髪には真白い百合が飾られている。衣装のコンセプト決めや衣装合わせにぜんぶつきそってはいたけど、こうして完成形を見るとぐっとくるものがあった。
 凛乃に腕を貸している父親はすでに顔を真っ赤にして涙をこらえ、凛乃とともに列席者に一礼する。
 言造をななめうしろに従えて累が入場したときには少々面食らっていた列席者も、思う存分拍手を投げかけた。
 ヴァージンロードの終点でふたりを待つ累は、場の主役が無事に凛乃に移ったことにホッとしていた。
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