北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「夏が楽しみになってきたねぇ」
「そうだね」
 累は凛乃とつるにこのツーショットをスマートフォンに収めてから、カップとスプーンを流し台に持って行った。
「夕方に商店街に買い物行くんだよね?」
「うん。そのつもり」
「ついでに、ラーメン食べる? あの店で」
「豚骨のだよね。んー、なんかいま、脂っこいものはしんどいかなあ」
 洗ったスプーンを水切りに投げこんでから、累は眉を寄せて凛乃のかたわらに片膝をついた。
「鎮痛剤飲んだ? おなかにカイロ貼る?」
「……アレではないよ」
 曖昧に返答した凛乃が、いぶかしむ。
「どうしてそう思ったの? わたしこれまでも、アレで痛いとか眠いとか言わないようにしてたんだけど」
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