北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 腕を引いて起こすと、凛乃は正面から累の腰の上に乗り、首のうしろで腕を交差させた。
「外の空気も吸えるし、メリハリができていいね」
「ん」
 具合がよくなるよう触れている位置を調節して、累はいきなり凛乃に深いキスを押しこんだ。
 勝手知ったる凛乃の身体の弱いところを、編み上げたいくつかのパターンのどれで開くか。なるべく音も声も出さない制約を守りながら、それを探る。
「こどものなまえ、なにがいいかな」
 焦らしに対する抵抗か、凛乃が訊いてくる。
「考えてあるよ」
「んくっ」
 攻めつづける手にたまりかねたのか、凛乃の腰が逃げようとする。
 累は凛乃を引き寄せながら、肩越しに左斜め上の壁を見た。
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