北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
-ハジメテの休日-
 我ながら良い感じにDIY脳になってきたと、凛乃は自画自賛した。
 鏡面を丁寧に拭き、スタンドミラーを目線の高さに持ちあげて、四方八方からチェックしてみる。
「よし」
 小さくつぶやくと、うつむいて濡れ髪を拭いていた累が顔をあげた。
「完成?」
「はい。明日は休みだから、一気に最後まで仕上げちゃいました」
 手元を覗きこむ累から、ボディソープの香りがする。つるにこは、累のかたわらに置かれた座布団の上で、ヘソ天で寝ていた。
「店とかで売ってそう」
「元がいいモノですから」
 謙遜しながらも、褒められてくすぐったくなる。
「玄関に置いてきますね」
 凛乃が立ち上がると、累もタオルで頭を掻きまわしながらついてきた。
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