北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 その隙間に入ろうとして、累の指先がためらっている。
 響いてくる鼓動に、凛乃の体温が急上昇してゆく。
「そういう意味、でした」
 しぼりだした声がかすれる。
「でした?」
「です」
 身体が少し離れた。
 まぶたに視線を感じるけど、なかなか顔があげられない。
 でも待っていてくれるその顔を確かめたいという衝動が勝った。
 ハチミツ色の瞳が、熱を灯していた。
 きっと累も、凛乃の目におなじ色を見つけている。
 右手を取られ促されるまま、凛乃は下手なダンスステップを踏むように累ともつれ合いながら、ベッドに腰を下ろした。
 浴びせられたキスは、いままでのどんなキスよりも深くて、息が継げない。
 くらくらする頭をキスに預けて、頬を包んでいた手が肩の稜線に降りていくのを感じ取る。
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