独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
そして……葵と須和が他愛のない話をしながら十分ほど過ごしていると、その医師は現れた。

「ここにいたんだ! 柾、お疲れ~」

「立」

(この人が、先生……?)

彼が個室に入ってくるなり、葵はその華やかな雰囲気に圧倒された。

サラサラの長めの茶髪に、ハッキリとしたアーモンドアイ。
やわらかい雰囲気が中性的で、医者というよりもアイドルに見える。

「えっ、この子が噂の葵ちゃん!? わぁ、結構可愛いじゃんか♥」

「!?」

(な、何? 噂……?)

男性は葵の顔を見て開口早々言い放つ。その口ぶりは明るいというよりも、チャラい。
そんな彼に、須和はギロリと睨みを利かせた。

「……ホントに、今日はそういうのやめてくれ。
あと声のボリュームをもっと下げてもらわないと困るんだ」

「あはは、そうだったね。ここにいるってバレたら面倒だしねぇー。
葵ちゃんもごめんなさい」

「い、いえ! 全然大丈夫です」

「葵ちゃん、ホントごめん。こいつが失礼なことを……」
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