独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
(えっ……)

立は葵の瞳を見つめながら、反応を楽しむように薄く笑みを浮かべる。
恥ずかしさが込み上げて、葵はとっさに視線を逸らした。

「じゃ、お二人の甘い時間を邪魔しちゃ悪いから、今日は退散してあげよっかな」

「そうしてくれ」

「葵ちゃん、またね。近々会えるのを楽しみにしてるよ」

「……はい」

立は風のように去っていき、静まり返った個室に葵と須和だけが取り残された。
さきほど向けられた立の熱い瞳が残像に残り、まだほんのりと頬が熱い。

「立はあんなんだけど、腕は本当に良いんだ。安心してくれていいよ」

「そうですよね、私も名前は聞いたことがありました」

(立さんと接触するのは正直怖いけど、お父さんを助けてくれるんだし……。
さっきのは気のせいだと思おう)
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