独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
須和の横に座っていた葵が、利光に向かって小さく頷いた。

「そうなの。お父さん、私たち付き合うことになったんだ」

「おじさん、ご挨拶が遅くなって申し訳ありません」

「お前たちいつの間に……」

利光はそう言ったきり、黙りこくっている。

(……あれ、何も言ってこないんだ)

呆気にとらてた葵はチラリと利光を見ると……意外や意外、彼は満面の笑みを浮かべていた。

「お父さん……」

「本当によかった。俺は葵を託すのなら絶対に柾じゃなくちゃ嫌だったからな!」

「……おじさん、ありがとうございます」

ニコニコと微笑む利光は本当に喜ばしく思っているらしく、鼻歌まで歌い出した。

「お父さんが須和さんのことが大好きなのは知ってたけど、ここまで喜んでくれるとは思ってなかったな」

でも今思えば、私と須和さんがくっついてほしいような感じはあったかもーー。

「葵ちゃんは僕が支えるので、おじさんは安心して治療に専念してください。困ったことがあったら全部僕がサポートしますので」

「柾……」
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