独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「それでは、僕はこの辺で失礼しますね」

「忙しいところ来てもらってありがとな、先生」

「葵ちゃんも、またね」

「あっ、はい……」

ついボーッとしていた葵は、立に話しかけられてハッとする。
立は笑顔を浮かべたまま、扉に向かって颯爽と歩いて行った。

「おい、なんだその返事は。突っ立ってないで先生をお見送りしろ」

「もう! 分かってるんだから、お父さんいちいちうるさいよ」

利光に言われるままに、葵は部屋を出ていこうとする立の元へ駆け寄った。

「立さん、今日はお忙しいところ来てくれてありがとうございました。
手術の日、どうぞよろしくお願いします」

「うん、よろしくね。でも手術を頑張る代わりに、一つお願いがあるんだけど」

立は最後の部分、声を小さくして葵に伝える。

「お願い? なんでしょうか? 私にできることならなんでもいいですよ」

張り切って葵が言うと、立はニコッと爽やかな笑顔を浮かべる。

「さすが葵ちゃん。じゃあ、手術が終わったらキスしてね」

「は……?」

「それがお礼ってことで。じゃ、また当日」

ひらひらと優雅に手を振る立を、葵は口を開けて姿が見えなくなるまで見つめていた。

(なんで、私が立さんにキス……?)
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