独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「うん、このチョコレート会社の社長。今度うちとタッグを組んで、シンガポールに新店舗を出す予定があってね。
彼女が大分前になるけど、葵ちゃんに会いたいって言ってたんだ」

「あ、思い出しました。二十歳の誕生日の時に話していた社長さんですよね?」

「そうそう! よかった、おじさんも手術が終わってるしちょうどいいタイミングだ。
この機会に是非、会ってあげてくれないかな」

「もちろんです。ただ、私、英語とか全く話せないんですけど……」

「大丈夫だよ。僕が通訳するから。
あと、折角だから作ったものを持って行くのがいいかなって思うんだけど」

「確かにそうですよね……! 久しぶりに作ってみようかな」

店を畳んで早二週間が経過した。
あれから一度も和菓子を作っていなくて、そろそろ腕がなまってしまうと思っていたところだ。

「僕もまた葵ちゃんの和菓子が見たい。
君には素晴らしい才能があるんだから、今でももっと色んな人に食べてもらいたいと思ってるよ」

「須和さん……」

「そうだ、ここのキッチンもよかったら使って? 
おじさんのところに行った帰りに寄れるんだし」

「いいんですか!? そんなこと」

「いいよ、全然。ほとんど自炊もしないし、
せっかくいいキッチンを取り付けたのに、宝の持ち腐れ状態だったんだ。
葵ちゃんが使ってくれるんなら大歓迎」

「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな……」

確かにここのダイニングキッチンは、葵の家の二倍以上の広さはある。
道具を多く使う和菓子作りには、もってこいなのかもしれない。

でも、それって……。

「いつでも遊びに来て。葵ちゃん」

「……っ」

須和はニッコリと微笑んで、葵の頭をポンポンッと撫でてくる。
食事が済んだのかすくっと立ち上がり、葵を見下ろした。

「むしろ、ここからおじさんのところに通ってもいいし」

「えっ……」

(それは、ここに住むってこと?)
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