独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
戸惑って何も言えない葵に、須和は優しく微笑んだ。

「ごめん。ちょっと急ぎすぎたかも」

「いや、そんなことは……」

「ううん、まだ付き合ったばっかりだしね。居心地が良かったら検討してよ」

「はい……」

(須和さんとずっと一緒にいれるなんて夢みたいだけど、
今だってこんなに緊張してるんだから、きっと心臓がもたない)

「ちょっと部屋着に着替えてくる。スーツだと落ち着かないから」

「分かりました。待ってますね」

葵の返事に嬉しそうに頬んだ須和は、奥の部屋へと消えていく。

しんと静かになった部屋を見渡して、葵は小さく息を吐いた。

(今まで何度も会ってたけど、こんなにプライベートの姿を見るのは初めて。
私、本当に須和さんの彼女になったんだな……)

長い間思い続けた、憧れの存在だった須和さん。
その人の完全なプライベート空間に自分が今いることに、この上ない幸せを感じる。

(この部屋は、どこもかしこも須和さんの匂いがする)

大好きなシトラスの香水の香り。
……と、ほのかにたばこの香り。

須和さんが喫煙者だったこと。
テーブルに灰皿と数本のたばこの吸い殻を見つけて初めて知った。
今まで見せなかった彼の素顔ーー。
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