独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「前に柾さんのお父さんがお店にいらした時に、二人の邪魔をするなと……」

「ああ、だからあの時、手紙にあんなことを書いたんだな」

「はい……」

葵は須和に渡す挨拶状の一言に『梨々香さんを幸せにしてあげてくださいね』と付け足していた。
苦しかったが、想いを断ち切るためにはその時そう書くのが一番だと思った。

(でもなんで、義則さんに言われたことを柾さんは分かったんだろう)

二人の間に沈黙が流れる。須和は考えを巡らせているようだった。

(あともう一つ...…)

この流れで、葵は先日あったことを勇気を出して言ってみようと思う。


「あの……この前お家に来た時に、梨々香さんとエレベーターで会いました」

「えっ……それで?」

須和の表情が明らかに曇る。何かを察知したかのように目を細めた。

「私と柾さんが仲が良いのをとても嫌がってました。それで……すごく傷ついた様子で」

「……」

あえてあの時彼女が言った暴言は、伝えないでおこうと葵は思う。
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