独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
三月二十九日ーー須和はシンガポール・マリーナベイ地区にある『ベリーヒルズビレッジ』に降り立った。

須和が作った東京の『ベリーヒルズビレッジ』の三倍はある広大な敷地の中に、低層階の高級ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、リラクゼーション専門施設、病院がある。

今日はホテルに併設されているローズガーデンで、オープン3周年パーティを祝うことになった。ちなみに立食形式ということだ。

(いい眺めだな)

ローズガーデンは丁寧に整備され、南国特有の鮮やかな花が咲き乱れていた。
そして世界から訪れた要人たちが華やかなドレスコードで更にその場の彩を与えている。

「柾! 遥々シンガポールまで来てくれてありがとう」

「ニッキー! とんでもないよ、三周年おめでとう」

主催者であるニッキーの隣には、ミッシェルの姿がある。
彼らは三年前このベリーヒルズビレッジのプロジェクトを通して付き合い、今年結婚した。

「葵は?」

須和が辺りを見回して言うと、ミッシェルはニッコリと笑う。

「葵は今準備で大忙しよ。それだけじゃないわ、彼女も今日はドレスアップするのよ。
パーティが開始したら会えるだろうからそんなに焦らないで」

ニッキーとミッシェルには既に葵と付き合っていることを言っているので、こうやって時折ちゃかされたりもする。

(確かに、自分は何を焦ってるんだろう)
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