独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
『はい、加瀬です』

ワンコールで出た彼に、ドキッと心臓が跳ねる。
葵は簡単に経緯を説明し、お礼の品を持って行きたい旨を伝えると、加瀬は快く承諾してくれた。
ただ渡すだけなので、早速須和の会社に向かうことになったのだ。

(お菓子と手紙と、あとは……)

須和と接触するのは、きっとこれが本当に最後になるであろう。
葵は一瞬悩んだが、挨拶状の最後に一言だけ言葉を添えることにした。
もちろん、利光とは違った文言だ。

(よし、急ごう)

葵は強い気持ちを持って、須和のいるベリーヒルズビレッジへと向かったのだった。
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