エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「患者の様子はだいぶ落ち着いたが、もしかしたら呼び出しがくるかもしれない。そんな状況でも許してくれるなら、これから俺とデートしてくれるか」


 デートに行っても途中で貴利くんは帰ってしまうかもしれないということだ。


「早く行かないと、時間がなくなるよ」


 それでもいいから、私も貴利くんとデートがしたい。


「そうか。そう言ってくれてよかった」


 すると、貴利くんの手が不意に私の手を握った。瞬間、私の心臓がとくんと跳ねる。

 ただ手を握られただけなのに、それが貴利くんの手だと思うとなぜか緊張してしまう。大きくて少しごつごつとした硬い手から伝わる熱が、少しずつ私の手に移動してくる。

 そわそわと落ち着かない私をよそに貴利くんはイスから立ち上がると、私の手を引いてリビングの入口へと向かって歩き出す。


「それでは、おばさん。千菜を少し借ります」


 扉を開けながら振り向いた貴利くんが声を掛けると、「楽しんできてね」と母がひらひらと手を振る。けれど、少しして何かを思いついたらしくその表情が輝いた。

 これは何か余計なことを言いそうな雰囲気がする……。

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