エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
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予定では車で迎えに来てくれるはずだったけれど、貴利くんは仕事で寝不足らしく運転は危険だと判断したらしい。家から歩いて十分ほどの駅から電車で移動をすることになった。
「どこ行く? もうお昼過ぎてるよね」
それほど混み合っていない電車内に並んで腰を下ろすと、私は隣の貴利くんに声を掛けた。
「千菜はお腹は空いていないか。俺はさっきおばさんの作ったケーキを食べたから、空腹というわけでもない」
「え~。私はお腹すいたよ。朝から何も食べてないもん」
今日は張り切って早起きをしたので、朝食を食べた時間も早かった。すでにお腹がぺこぺこだ。
「そうか。それならまずは駅に着いたら昼飯を食べるか」
「あっ、それじゃあ行きたいところあるんだけど、行ってもいい?」
「ああ、構わない。俺が奢る」
「えっ、本当!」
「デートに誘ったのは俺だし、今日は千菜をだいぶ待たせてしまったからな。今日はすべて俺の奢りだ」
やったーと私は上機嫌になる。
今日のデートプランについては特に話し合って決めていない。私は十時に家の前で待っているようにしか教えてもらっていないまま当日を迎えた。