エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 きっと貴利くんがプランを考えていてくれるものだと思っていたけど、どうやらこの感じだとそうでもなさそうだ。心配していた結婚式場の見学に連れて行かれる可能性もないと思う。

 とりあえず電車に乗って桜木町駅へと向かっているが、そこでランチを取ったあとの予定は未定。まぁ、着いてから考えよう。今日はすべて貴利くんの奢りらしいから。


「千菜。すまないが少し寝てもいいか」

「えっ、ここで?」

「着いたら起こしてくれ」


 そう言うと貴利くんは腕を組み、すっと目を閉じた。すぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。

 よっぽど仕事が忙しかったのだろう。ろくに寝ていないって言っていたし。わずかな時間だけど、ここは静かに寝かせてあげよう。

 電車の揺れに合わせて貴利くんの頭もぐらぐらと揺れている。よくこの状態で熟睡できるなと不思議に思いつつ、私は視線を車窓からの景色に移動させた。

 次第に目的の駅が近づいてきているのか、景色の中に高いビルが目立ち始める。それをぼんやりと眺めていると左の肩に重みを感じた。

 すぐ隣を見ると、貴利くんが私の肩にもたれかかるようにして眠っている。

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