エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「ここではまだ渡せない。あとで渡す」


 コーヒーカップから口を離し、貴利くんはそう答えた。

 そんなにもったいぶるようなものなのだろうか。見たところ貴利くんの荷物は小振りなショルダーバッグだけ。

 どうやら私に渡したいものはその中に納まっているようだけど、いったい何だろう……。


「――もしかして、郡司先生ですか?」


 貴利くんのショルダーバッグをじっと見つめていると、近くから女性の声が聞こえた。そこにはすらりと背の高い美人が立っていて、その視線が貴利くんを見つめている。


「麻宮さんか」


 どうやら貴利くんも彼女を知っているらしい。


「こんなところで郡司先生に会うとは思いませんでした。私は友人と待ち合わせをしているんですけど、郡司先生は……」


 彼女の視線が、貴利くんの向かいの席に座る私へとゆっくりと移動した。

 目が合ったのでぺこりと頭を下げると、なぜか彼女はハッとしたような驚いた表情を見せる。

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