別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「会長夫人がえらく凛子ちゃんのことをお気に入りで、ぜひパーティーに来てほしいと直々の電話があってね」

「それはとても光栄なことですけれども。でも私……」

正直、そういう類のものは昔から好きではない。父が病院を経営していることもあり、小さい頃からそういうものに顔を出さなければいけない状況だったが、人見知りの私にとってそれは苦痛な時間だったから。

「せっかくの機会だし顔を出してみなよ。星野グループと言えば日本で五本の指に入る大企業だし、いろんな業種の人が集まるから人脈も広がるし、今後の仕事の刺激にもなると思うよ」

普段はこんなにごり押しなんてしない岬オーナーにそう言われると、断りづらい雰囲気で苦笑いを浮かべるしかない。

「……」

「きっといい経験になるから」

「……分かりました。岬オーナーがそう仰るのならば、参加させてもらいます」

上司の命令ともなれば、嫌だとごねるわけにもいかず。それを渋々了承したものの、果たして粗相なくこなすことができるんだろうか。
< 14 / 111 >

この作品をシェア

pagetop