御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
闇雲に探しているのはわかっている。植え込みの草をかき分けては場所を移動し、歩道を行き交う人からは不審な視線を投げかけられた。けれど、そんなことを気にしている場合じゃない。なんとかして探し出さなければ、蓮さんとの繋がりを失ってしまう。

あぁ、もう最低……。

薄暗い中、歩道の街灯だけを頼りに地面に這いつくばって探す。目からは涙がこぼれて何度もそれを拭った。

泣いちゃだめ!

泣いたら涙と一緒に蓮さんとの思い出も消えてなくなってしまうような気がして、嗚咽をぐっと堪えた。明日、日中の明るい時間帯に探そうとも思ったけれど、気になって気になって夜も眠れないならずっとここで探していたほうがマシだ。

どうしてこんなに探してもないの? 一体どこに行っちゃったの?

ネックレスみたいな小さな物を探し出すには範囲が広すぎる。自分なりに隈なく探したつもりだけど、ネックレスどころかゴミひとつ落ちていない。蓮さんとの楽しい思い出が頭の中を駆け廻った。

私の好きなあの笑顔で私だけに微笑んでくれる。

私の好きなあの声で甘く囁いてくれる。

それが今、私の手から離れていこうとしているんだ……。

どうしようもない思いに、固く目を閉じて四つん這いになったままぐっと芝生を握りしめた。

見つからなかったどうしよう……ん?

ふと、道路に目をやると一台の車が走った後にキラリとしたものをアスファルトに見た。

ッ!? もしかして……ネックレス!? やっと見つけた!?
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