御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
「……れん、さん? どうして?」
信じられない気持ちで見上げる。
今、私はいるはずもない人に抱きしめられていた。
「どうしてかって? それはこっちの台詞だ。なんでこんな大通りにいきなり飛び出したりしたんだ」
珍しく蓮さんは声を荒げ、馬鹿な真似をした私に本気で怒っていた。
「ごめんなさい……」
歩道の隅に寄ると、蓮さんが私を落ち着かせようと肩をゆっくり撫でてくれた。
「ごめん、怒鳴ったりして……一体、君の身に何があったんだ? 全部話してくれないか?」
優しい声で宥めるように言われると、もう蓮さんには会わない。という決心もガタガタと崩れ落ちてしまう。
「……私、もう蓮さんに会えないと思ってました」
「会えない、だって? じゃあ、会いに来ないでくれって言うのは……やっぱり本心じゃなかったんだな?」
私の心を読み取るように蓮さんが両肩に手を置いて覗き込んでくる。視線が絡むと“本当のことを言ってくれ”と訴えかけられているようだった。
「はい。本心じゃありません」
彼の目はいつだって綺麗でまっすぐだ。だから、もう自分に嘘はつきたくない。
「緒方さんが蓮さんに婚約者がいるって、有栖川家の跡取りに相応しい家柄の令嬢だって、そう言われました」
「は?」
「蓮さんのお父様の所に、私の素性を調べた書類が届いたんです」
私は緒方さんがうちに来て身を引くように言われたことや、書類の情報源が元カレからだったこと、そして蓮さんに迷惑をかけないで欲しいと直接言いに元カレに会いに行ったら、プレゼントしてくれたネックレスを投げ捨てられてしまったことを全部話した――。
信じられない気持ちで見上げる。
今、私はいるはずもない人に抱きしめられていた。
「どうしてかって? それはこっちの台詞だ。なんでこんな大通りにいきなり飛び出したりしたんだ」
珍しく蓮さんは声を荒げ、馬鹿な真似をした私に本気で怒っていた。
「ごめんなさい……」
歩道の隅に寄ると、蓮さんが私を落ち着かせようと肩をゆっくり撫でてくれた。
「ごめん、怒鳴ったりして……一体、君の身に何があったんだ? 全部話してくれないか?」
優しい声で宥めるように言われると、もう蓮さんには会わない。という決心もガタガタと崩れ落ちてしまう。
「……私、もう蓮さんに会えないと思ってました」
「会えない、だって? じゃあ、会いに来ないでくれって言うのは……やっぱり本心じゃなかったんだな?」
私の心を読み取るように蓮さんが両肩に手を置いて覗き込んでくる。視線が絡むと“本当のことを言ってくれ”と訴えかけられているようだった。
「はい。本心じゃありません」
彼の目はいつだって綺麗でまっすぐだ。だから、もう自分に嘘はつきたくない。
「緒方さんが蓮さんに婚約者がいるって、有栖川家の跡取りに相応しい家柄の令嬢だって、そう言われました」
「は?」
「蓮さんのお父様の所に、私の素性を調べた書類が届いたんです」
私は緒方さんがうちに来て身を引くように言われたことや、書類の情報源が元カレからだったこと、そして蓮さんに迷惑をかけないで欲しいと直接言いに元カレに会いに行ったら、プレゼントしてくれたネックレスを投げ捨てられてしまったことを全部話した――。