御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
そこにはバラバラと回転翼が激しい音を立て、飛行準備に入ったヘリコプターが待機していた。こんな間近でヘリコプターなんて見たことがない。口を開けて唖然としている私に蓮さんがニッと笑った。

「春海! あれに乗って上空に逃げるぞ!」

「えっ!?」

エスエープすると言ってどうしてまたビルに戻るのだろう、と不思議に思っていたけれど、ようやく蓮さんの意図がわかった。まさか、エスケープする場所が空だなんて想像もしていなかったし、蓮さんはやることが大胆で豪快すぎる。

とこかくここは蓮さんにすべてを委ねよう。

前に展望台に連れて来てもらったことはあったけど、このビルの屋上にまさかヘリポートがあるなんて思いもよらなかった。

「手、掴まって!」

「はい!」

これから身に起こることがまったく想像できなくて不安で仕方なかった気持ちも、まるでアトラクションにでも乗るような感じに胸が高鳴りを覚える。

こくこくと頷いて、蓮さんに支えられながらヘリに乗り込むと、目の前に飛び込んできた物に息を呑んで目を瞠った。

「蓮さん、これって……」

ヘリの中にあるものとしては意外な物過ぎて驚きを隠せない。
< 117 / 123 >

この作品をシェア

pagetop