御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
「え? あ、はい。すみません、助かりました。ありがとうございます」

「とんでもない」

涼やかな目元を細め、形のいい唇に柔らかな笑みを含ませている彼になぜだか目が奪われる。身長もスラッと高く、おそらく百八十以上。推定三十歳前後。ベリーヒルズビルディング内にある会社の上層部……たぶん。

私の中のイケメン察知レーダーがそのように感知する。

「私、こういうパーティー初めてで……物珍しくて写真撮りまくっちゃってたんですけど、それがとんだご迷惑をおかけしたみたいで……」

取材で撮ったことは伏せなければならない。私がここにいるのもあくまでも参加者としてだ。婚活目的以外の人間が安易に参加しているなんてバレたら、口コミで何を書かれるかわからない。そんなことにでもなったら取材を許可してくれたイベント会社にも迷惑がかかる。

「別に写真を撮るくらい構わないさ、ほら、あそこの女性だってみんなで撮ってるだろ? さっきの彼女はただの言いがかりだ」

そっか、ただの言いがかりかぁ……。

私の安物ドレスを見抜いてこのパーティーにそぐわない人間がいるっていじわるされたのかな……こわっ!

気を取り直してしばらくの間、その流れで私はその彼と一緒にBisの食事を楽しんだ。

「よかったら、これ食べてみてくれないか? Bis特製のカジキマグロのスモークだ」

「わぁ、美味しそう! 実は私、この店のお料理食べるの初めてなんです」

「へぇ、それはよかった」
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