御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
緒方さんは六十代後半の男性。柔道を嗜んでいたということで肩幅がガッチリして体格がいい。そのせいか後ろに撫でつけた髪は白髪混じりだけれどまったく年を感じさせない風格がある。ずっと有栖川家に仕えていて、今は蓮さんの部長秘書兼執事的な役割を担っているという。蓮さんのことも幼少の頃から知っているようだ。
「あの、これからどこに行くんですか?」
「ベリヒルシティだ」
ベリヒルシティはここから目と鼻の先にあるショッピングモール。同じ敷地内なのにわざわざ車で行かなくても……。と思いつつ到着する。
「まずは腹ごしらえするか、まだなにも食べてないだろ?」
「はい、実はお腹ペコペコで」
初めはそんなふうに言うと食い意地張ってるだなんて気を使っていたけれど、今はもう彼の前では不思議と自然体になれた。「俺も」と言って微笑む蓮さんに私もニコリと笑みを返す。
あぁ、なんかこういうのいいな……恋人同士みたい。
三階建ての大型複合商業施設ベリヒルシティはベリーヒルビレッジのメインショピングモールで、世界中の高級ブランドが集結している。星五がつくほどのレストランや老舗和菓子店、宝石店、呉服屋、カフェなどの目玉スポットがずらりと並んでいて、多くの人が賑わっている。しかし……。
ここのショッピングモールには、元カレの店がある。仕事終わりにぶらりと立ち寄るのが楽しみだったけれど、今はもう洋司さんのことを思い出したくなくて行かないようにしていた。
こんなに広いんだから、きっと大丈夫……だよね?
「あの、これからどこに行くんですか?」
「ベリヒルシティだ」
ベリヒルシティはここから目と鼻の先にあるショッピングモール。同じ敷地内なのにわざわざ車で行かなくても……。と思いつつ到着する。
「まずは腹ごしらえするか、まだなにも食べてないだろ?」
「はい、実はお腹ペコペコで」
初めはそんなふうに言うと食い意地張ってるだなんて気を使っていたけれど、今はもう彼の前では不思議と自然体になれた。「俺も」と言って微笑む蓮さんに私もニコリと笑みを返す。
あぁ、なんかこういうのいいな……恋人同士みたい。
三階建ての大型複合商業施設ベリヒルシティはベリーヒルビレッジのメインショピングモールで、世界中の高級ブランドが集結している。星五がつくほどのレストランや老舗和菓子店、宝石店、呉服屋、カフェなどの目玉スポットがずらりと並んでいて、多くの人が賑わっている。しかし……。
ここのショッピングモールには、元カレの店がある。仕事終わりにぶらりと立ち寄るのが楽しみだったけれど、今はもう洋司さんのことを思い出したくなくて行かないようにしていた。
こんなに広いんだから、きっと大丈夫……だよね?