御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
そんな彼と結婚するなんて嬉しくてどうしようもないし、会うだけで心臓のドキドキが止まらない。
でも、今朝は会えないんだな……。
いつも車に乗ると、あの優しい笑顔で「おはよう」と声をかけてくれる。それがないだけで無性に寂しい。
車内は綺麗に清掃が行き届いていて埃ひとつ落ちていない。微かに蓮さんの爽やかなフレグランスの残り香がした気がして鼻をスンスンしてみる。
緒方さんは運転中、話しかけない限り基本無口だ。蓮さんの秘書として、有栖川家の執事として無用なおしゃべりを慎むように教育されているのか、会社に向かって走り出す車内は異様な雰囲気に包まれていた。
「今日もいいお天気ですね、少し暖かいくらい」
「そうですね」
「あの、遠方ってどこまで出張なんですか?」
「申し訳ありませんが、行き先までは社内情報ですので私の口からは……」
うぅ、会話が続かない!
社内情報、か。緒方さんにとって私は部外者ってことね……。
でも、今朝は会えないんだな……。
いつも車に乗ると、あの優しい笑顔で「おはよう」と声をかけてくれる。それがないだけで無性に寂しい。
車内は綺麗に清掃が行き届いていて埃ひとつ落ちていない。微かに蓮さんの爽やかなフレグランスの残り香がした気がして鼻をスンスンしてみる。
緒方さんは運転中、話しかけない限り基本無口だ。蓮さんの秘書として、有栖川家の執事として無用なおしゃべりを慎むように教育されているのか、会社に向かって走り出す車内は異様な雰囲気に包まれていた。
「今日もいいお天気ですね、少し暖かいくらい」
「そうですね」
「あの、遠方ってどこまで出張なんですか?」
「申し訳ありませんが、行き先までは社内情報ですので私の口からは……」
うぅ、会話が続かない!
社内情報、か。緒方さんにとって私は部外者ってことね……。