御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
平日の夜でもここのショッピングモールは相変わらず賑わっていて、ふとショーウィンドウに飾られていたネックレスに目が留まる。

わ、これステキ!

それはしずくモチーフに花をイメージしたダイヤのネックレスで、プラチナが凛と煌めいていた。自分への誕生日プレゼントにと思ったけれど、提示されてるプライスカードを見て落胆する。
桁が違い過ぎる……。

そうだ、私がここで買える物なんて限られている。ケーキをひとつ買うだけでも奮発するくらいなのに、ほんとベリーヒルズビレッジの人たちって生活水準高すぎるよ……。

ステキなネックレスだったのになぁ。

後ろ髪を引かれる思いを断ち切って、私がパティスリーへ向かって歩いているそのときだった。

「春海、ここにいたか」

「え?」

いきなり後ろから聞き覚えのある声で話しかけられて、一瞬気のせいかと思いきや振り向くと……。
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