御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
「なぁ、結婚式とか祝いの場で、シャンパンで乾杯する理由知ってるか?」

「あ、そういえば……いえ、考えたことなかったです」

「幸せが気泡のように永遠に続くように、っていう願いが込められているからなんだ。だから、君の誕生日にぴったりだろ? 春海、おめでとう」

グラス同士を軽く合わせると、カチンとお互いだけに聴こえるロマンティックな音に酔いしれる。

「うん、美味しい!」

少し辛口だけど、すっきりとしたフルーティーな味わいに、シュワシュワとした喉ごしも心地いい。

「ここで夜景を眺めながら君とこうしてゆっくり風呂に浸かるなんて、最高の贅沢だな」

「私もそう思います」

ここには私と蓮さん以外誰もいない。二人だけの世界だ。そう思うと、もっともっとこの時間が続けばいいのにと、今交わした乾杯にそんな願いを込めたくなる。

「それに、このネックレスも嬉しかったです。大切にしますね」

素肌に輝くネックレスが水面にゆらゆらと反射して煌めいている。

「プレゼントはそれだけじゃないぞ? そろそろドレスも出来上がってくる頃だろうし、それにまだ渡してない大事なものがあるだろ?」

私の左手を掬い、そう言いながら薬指にチュッと甘い水音を立てて口づける。

「婚約指輪、それとももういっそのこと結婚指輪にしようか」

もう、蓮さん、お風呂の中でそんなことされたら……一気にのぼせちゃうよ。それにちょっと酔も回ってきた感じ……。
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