御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
「春海、君からキスしてくれないか?」

「え、ここで、ですか?」

「ああ、そうすれば今日一日頑張れる気がする」

ふふ、蓮さん甘えちゃって。大人な男性だけど、こういう可愛いところもあるんだな……って、そんなこと言ったら怒られちゃうね。

「いいですよ」

この時間なら人通りも少ないし。と私は腰を屈める蓮さんの首に腕を回して軽く口づけた。

ん? なんか誰かに見られているような……?

気のせいかな?

一瞬だったけど、なんとなくそんな気がしてチラリと横目で辺りを見てみるけれど、もうその気配は消えていた。

「春海? どうかしたのか?」

「いえ! なんでもないです。蓮さん、いってらっしゃい。お仕事終わったらまた連絡してくださいね」

「ああ。わかった。じゃ」

すっかり新婚気分でウキウキする。このままずっと幸せな時間が続けばいい。

私は彼が乗った車が道の角を曲がって消えるまでずっとその場で見送った――。
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