極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
もし、お客さんがひとりもいなかったら泣くので、開店前の外は見ないことにする。
ここ数日、苦手なラウンジにも行って宣伝もした。
オフィスビルに入っている会社でも、フライヤーを配らせてもらった。
いや、引退していたとはいえ、白井さんはフランスのコンテストでも賞を獲ったことがある、その筋では有名人なのだ。
それでお客がゼロ、なんてことがあったら……それは私の責任だ。

「では、オープンします」

開店時間の十時二分前、店正面のガラス戸にかかるスクリーンが上げられる。

「え……」

目の前に広がる、光景が信じられなかった。
鍵が開けられ、自動ドアが開く。

「いらっしゃいませ」

客が入ってきてあたまを下げる。
それはひとりではなく……何人も。

「いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ」

あっというまに、店内が一杯になる。
外にはまだ、入りきれない人たちが並んでいた。

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