極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「え、それは痛いから嫌。
じゃ、来週、返事を訊きに来るからなー」

振り下ろされる定規をひらりひらりと軽くかわし、彼は手を振りながら余裕で事務所を出ていった。

「森下!
塩撒いとけ、塩!」

いつも冷静な所長にしては珍しく、はーはーと肩で息をしている。

「いいんですか、大口の依頼主にそんな。
この契約が決まれば、CM出演の口もきいてもらえるって話ですが」

「うっ」

反対にいつもどおりな森下さんはちょっと怖い。
私だって、やれ! 所長! とか心の中で応援していただけに。

「……まあいい。
コーヒーでも淹れてくれ。
できれば、冷たいの」

諦めたのか、所長は大きなため息をついた。

「わかりました。
染宮さんからいただいた引き菓子がありますし、一緒にお出ししますね」

森下さんが立ち上がり、給湯室へ消えていく。
応接室へ戻ってきた所長は、ソファーにどさっと座った。
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