極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
奥ゆかしいとは誰のことだ?
とか思ったが、彼は真剣に悩んでいる。

「よし、古渡さんのままでいい。
無理に名前で呼ぶより自然だしな」

「はぁ……」

彼が勝手に悩み、ひとりで解決してしまう間に、車は高速を降りた。
市街地を抜け、登っていく山の中腹に立派な屋敷が見える。

「まさかと思いますけど……」

「あれが俺の実家だな。
ちなみにここらの山は全部、古渡の持ち物だ」

古渡家がお金持ちだということは理解していたけれど、ちょっと想像の域を超えていてあたまがついていかない。

「もしかして、あの山もですか?」

「そうだ」

「こっちの山も?」

「あの、奥に見える山まで全部、だ」

彼が指を差したのは、遥か先の山だった。
古渡がかなりの資産家なのはわかるが、私が考えたのは残念ながら、松茸取り放題なのかな、だった。

「帰った」

「お帰りなさいませ」

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