極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
車を降りたところで、ロマンスグレーの素敵な老紳士が丁寧なお辞儀で迎えてくれる。

「父さんたちは?」

「応接室でお待ちです」

入った玄関は一流旅館か重文建築物かというほど立派だった。

「澪音、あとでゆっくり見学させてやるから、父さんたちへの挨拶が先だ」

「は、はい!」

小さく、くすりと古渡さんが笑い、途端にカッと頬が熱を持つ。
老紳士――たぶん、執事かなんかと古渡さんについて歩きながら、ひとりだときっと迷子になるな、なんて考えていた。

「旦那様。
一秋様がお帰りになりました」

「ただいま、父さん、母さん」

案内された部屋ではダンディという言葉がピッタリなイケオジと、いかにもな上品な着物の女性が待っていた。

「おかえりなさい、一秋さん。
さあさ、お座りになって」

女性に勧められ、向かいあうようにソファーへ座る。
部屋は十九世紀イギリス風の調度で揃えてあり、とても素敵だ。
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