極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
こうして四月某日の今日、結婚式当日を迎えた。

「馬子にも衣装だな」

ウェディングドレス姿の私を見てニヤリと頬を歪ませる古渡さんを、これほど殴りたいと思ったことはない。

「……すみませんね、元が地味で」

「いや、すまん。
あまりに美しくなったんでびっくりしていた」

するり、とごく自然に彼が私の頬を撫でる。
私を見つめる、レンズの向こうの瞳はうっとりとしていて、お世辞だとわかっていても頬が熱くなってきた。

「……そんなお世辞はいいです」

「お世辞じゃないぞ?
……とても綺麗だ」

頬に触れた手の親指が顎を押し、上を向かせる。
ゆっくりと彼の顔が近づいてきて……。

「それは契約違反です」

彼の唇が私に触れるよりも早く、その顔を手で押さえた。

「バレたか」

ふふっ、と悪戯がバレた子供のように小さく笑い、彼が離れる。

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