極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
聖堂の扉の前で父親役の男に手を取られ、開くのを待つ。

「澪音ちゃん、本当に綺麗だね」

「ありがとうございます」

男に褒められ、素直に喜んだ。
彼は全く知らない人ではなく、同じ事務所の俳優だ。
何度か一緒に、食事をしたこともある。
当然、他の人も一緒だが。
私側の出席者のほとんどは、同じ事務所の人間だ。
女優ではないのに、森下さんまで来ている。
みんな友人や会社の人間という役を演じているが、本質は本当の出席者といってもいい。

扉が開かれ、バージンロードを進んでいく。
その先では古渡さんが待っていた。
祭壇の前にふたり並び、式がはじまる。

「古渡一秋は染宮澪音を、妻とすることを誓いますか」

「誓います」

神様の前で、彼が平然と嘘を吐く。
事前の講義で神には嘘をついてはいけないと習ったのに。

「染宮澪音は古渡一秋を、夫とすることを誓いますか」

「……誓います」

ああ、神様。
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