極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
なんだかんだ言いながらも、あのリノアさんに服を作ってもらえるなんて、嬉しくないわけがない。

「古渡さん、ありがとうございます」

「別に?
俺は澪音を、喜ばせたいだけだ」

ぽりぽりと人差し指で、照れくさそうに彼が頬を掻く。
なんだかそれに、胸の内がぽっと温かくなった。

デザインの打ち合わせをし、店を出たときにはお昼をかなり回っていた。

「どこかで食って帰るか」

迎えに来た盛実さんの車に乗り、走りはじめたところで私は見つけてしまったのだ。
憧れだったパティシエのお店を、すぐそこに。

「ちょっと停めてもらっていいですか!?」

「停めろ、盛実」

早急に、それでいて急ブレーキではなく滑らかに車が停まる。

「どうした、澪音?」

「ケーキを買ってきてもいいですか?
そこのお店で」

ほんの一メートルほど後方になった店を指した。

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