極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「うちの男どもは私に、こんなことをしてくれることはないから。
本当にありがとう、澪音さん」

「いえ、喜んでくれて嬉しいです、……お義母様」

口にした途端、照れと恥ずかしさで顔が熱くなっていく。

「まあ。
……まあ!
お義母様だなんて!
こんな可愛い娘ができて私は幸せだわ!
ねえ、あなた?」

「……そうだな」

こほん、と咳払いしたお義父さんが、苦笑いを浮かべる。
でもどこか歯切れが悪いのはなんでだろう。

「私も素敵な母親ができて嬉しいです」

たとえこれが、三月には終わってしまう一時的な関係でも、また誰かを母と呼べるのは幸せだ。

「澪音さん。
本当の母と思って甘えてくださっていいですからね」

「ありがとうございます、お義母様」

お義母さんが瞳を潤ませて私の手を握ってくれた。
それはとても嬉しいが、――同時に。
優しいこの人を騙しているのだと胸が痛くなる。

夕食までごちそうになり、帰途に就く。

< 91 / 178 >

この作品をシェア

pagetop