極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「古渡さん、ありがとうございました。
今年限りですが、いい母の日を過ごせました」

こんなに楽しい母の日は私の記憶の中では初めてだ。
いつも父とは微妙な空気の中、過ごしていた。

「来年も再来年も、これからずっと、母の日にカーネーションを持って会いに行けばいい」

「でも、古渡さんとの契約は一年、で」

「……この先もずっと、俺の母を澪音の母にすればいい。
それじゃ、ダメなのか」

なんと答えていいのかわからず、じっと自分の手を見つめる。
彼も黙って運転を続けていた。

「……俺には腹違いの妹がいるんだ」

唐突に彼が口を開き、思わずその顔を見る。

「いまはアメリカに留学しているが、妹と仲が悪いなんてことはない。
むしろ、兄だと慕ってくれるし、俺も妹を可愛がっている」

真っ直ぐに前を見たまま、彼は淡々と話を続けた。

「でもそのせいで、母がたくさん泣いたのは知っている。
妹の母親も泣き、つらい思いをしたのも。
俺は父が許せなかった」

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