極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
私の疑問をかき消すように、古渡さんから勢いよく抱きつかれた。

「ずっと不安だったんだよな、澪音からこんなのダメだって言われたらどうしよう、って」

「……いえ。
とても嬉しい、……です」

ふわりと香る香水の匂いと僅かに混ざる彼の体臭にくらくらした。
それに甘く溺れてしまうのが怖くて、そっと身体を押して離れる。

「わるい、これは契約違反か?」

不安げに彼が訊いてくるが、顔は上げられない。

「……いえ。
……いえ」

黙れ、心臓。
たかが、これくらいのことで。

「なら、よかった。
厨房へ案内するな」

彼に腰を抱かれるだけで、びくりと身体が過剰に反応した。

「……澪音?」

眼鏡の下で眉を寄せ、彼が私の顔をのぞき込む。

「なんでもないです。
厨房も楽しみです!」

笑顔を作り、なんでもないと誤魔化した。
これは、ただの勘違い。
だから、気にしなくていい。

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