極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「そうか!
厨房も最高の器具を揃えたからな!」

彼は私の気持ちに気づかないまま、厨房へと案内を続けた。

「彼が澪音の助手になる、白井(しらい)雄一(ゆういち)だ」

「ひさしぶり、澪音ちゃん」

にこやかに、白髪の交じりはじめたあたまの男が笑う。

「え、え、なんで!?
おじさまが!?」

信じられなくて目をごしごしと擦った。
彼は私の……お師匠様、なのだ。

「どうだ、驚いただろ」

古渡さんはしてやったりって感じだけど、これには確かに、驚いた。

「もう引退して、お菓子作りはしてない、って」

白井さんは父の、昔の友人だ。
幼い頃、父に連れられて彼の店に行き、彼の手によって魔法のようにお菓子ができあがっていく様に夢中になった。
それが、私がパティシエに憧れるようになった原体験といっていい。
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