大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
あらかじめ帰宅を知らせてあったので、家の前の路地で私を待ち構えていたようだ。

心なしか涙目なのは、私がいないのを寂しいと思ってくれていたのだろうか。


「姉さま。お戻りになられてよかった」


同じく駆け寄ってきて声を震わせるのは、泰子だ。

貫一は私がどうして消えたか理解していないだろうけど、泰子は借金のせいだとわかっていたはず。

ただ、行き先が吉原だったのはおそらく勘づいてはいない。


「ただいま」

「姉さま、結婚するの? もう会えないの?」


貫一が敏正さんを見つけて、けん制するような眼差しを送る。


「初めまして、津田敏正です。結婚はするけど、いつでも会えるよ。遊びにおいで」


なんと敏正さんは貫一の目線に合うように腰を折り、笑顔で丁寧に話しかける。


「本当ですか?」
「もちろん。だから君の大切な姉さまをもらってもいいかな?」
「はい!」


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