大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
不安そうだった貫一の笑顔が見られて、胸を撫で下ろした。
玄関先には青白い顔をした父が待っている。
「お父さま……」
「郁子。あの、だな……」
父は言いわけをしたげに見えたが、敏正さんが私の一歩前に進み口を挟む。
「初めまして。津田敏正と申します。先日は一橋がお世話になりました」
「い、いえっ。世話になったのは私のほうで」
「少しお話がございます。妹さんたちは席を外していただけるとありがたいのですが」
これから結婚の報告だけでなく、三谷商店や借金についての話にも触れるはず。
たしかに泰子や貫一に聞かせるような話ではない。
「承知しました。泰子、貫一と二階に行っていなさい」
「姉さま」
父が命令したものの、貫一は寂しいのか私の着物を握ったまま離そうとしない。
「貫一。もう黙っていなくなったりしないから心配しないで。あとでお話ししようね」
玄関先には青白い顔をした父が待っている。
「お父さま……」
「郁子。あの、だな……」
父は言いわけをしたげに見えたが、敏正さんが私の一歩前に進み口を挟む。
「初めまして。津田敏正と申します。先日は一橋がお世話になりました」
「い、いえっ。世話になったのは私のほうで」
「少しお話がございます。妹さんたちは席を外していただけるとありがたいのですが」
これから結婚の報告だけでなく、三谷商店や借金についての話にも触れるはず。
たしかに泰子や貫一に聞かせるような話ではない。
「承知しました。泰子、貫一と二階に行っていなさい」
「姉さま」
父が命令したものの、貫一は寂しいのか私の着物を握ったまま離そうとしない。
「貫一。もう黙っていなくなったりしないから心配しないで。あとでお話ししようね」